宮古用水の機能と歴史、宮古土地改良区の活動等をご紹介します
  
 ここでは、地下ダムによる周辺環境への影響について、
質問に回答する形式で説明します。
A1.
地下ダムの止水壁は、地下の地層の中に造りますから、両側の地層が安定していれば、壊れる心配はありません。地震で壁にひびが入ることは考えられますが、貯留水が下流に逃げるだけで、地表に吹き出す事はありません。したがって、決壊して下流の家屋が流されたり、人命が失われる不安は地下ダムの場合、全くありません。
A2.
砂礫や粘土層が分布する一般地域では地下水位を低下させると、土層中の水分が絞り出されて収縮し、地盤沈下が発生します。したがって、このような地層分布で、地下ダムを建設する場合は地盤沈下に留意する必要があります。
なお、宮古島に分布しているのは琉球石灰岩であり、琉球石灰岩は強度があり自立しているので、地盤沈下は起きません。
A3.
傾斜した地形のところで地下水位が上昇した場合、地盤が不安定になって、斜面に沿って地滑りが発生することがあります。地下ダムは一般に海岸平野や台地に造られるため、あまり問題となるケースは考えられませんが、計画にあたっては検討しておく必要があります。なお、宮古島に分布しているのは琉球石灰岩であり、琉球石灰岩は岩盤として高い強度を持っており、地滑りの発生はまず考えられません。
A4.
地下ダムの止水壁を地表まで造った場合、当然地表は湛水してしまいます。これでは困りますので地下ダムを設計する場合は、止水壁を地表まで造らずに地下のある深さで止めておきます。こうすると大雨によって地下水位が上昇して止水壁の上端を越えると、地下水は地下ダム下流側へ越流し始めます。
地表が湛水しない止水壁の高さを決めるには、地下ダムを造る前に、地下ダム建設後の地下水位変化を予測するシュミレーションモデルを作り、これによって環境に悪影響を及ぼさないように決定します。
A5.
地下水位が地表すれすれまで来ると、農作物や植物に当然影響がでますし、家屋の土台が腐ったり、家の中が湿っぽくなることが考えられます。このため、貯水域の植生や土地利用、土壌条件を考慮して、環境保全上守るべき地下水位をあらかじめ設定し、これに適合するように地下ダムの設計を行う必要があります。
A6.
地下に工作物を作る工事は、都市部を中心に地下鉄や地下街などの建設のために数多く行われており、工事中の環境対策についても、騒音、振動、排水などについて、厳しい規制に適合する技術が確立されています。地下ダムの建設にあたってもこれらの技術を活用して、環境に十分配慮した工事が行われます。
A7.
地下ダム建設が直接の原因で水質が悪くなるということはありません。ただし汚染された地下水が地下ダムに流入した場合、地下水の循環速度が遅くなっているために、水質の回復に時間がかかることが予想されます。この場合でも、取水施設や放流施設を使って、強制的に汚染地下水を排除する事で対応する事ができます。また、湖沼で問題となっている富栄養化による水質障害は、有機物と太陽光線の作用で発生するもので、直接日光の届かない地下水の場合は、貯留された地下水が富栄養化する心配はありません。
  

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